ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ジュラシック・パークIII』(2001) ジョー・ジョンストン:監督

 前作の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』からまた4年が経ち、恐竜たちが棲息・繁殖する島「サイトB」は厳重な立ち入り禁止区域になっていた。ところが島に一隻のボートが近づき、岸辺近くで2人の男(1人はまだ少年)がパラグライダーを始めるのだった。しかし風にあおられたパラグライダーは島に墜落するのだった。
 場所は変わってアメリカ。第一作で活躍したアラン・グラント博士(サム・ニール)はあれ以降「恐竜島」のことばかり皆に質問され、本来の研究資金が集まるわけでもない。そこに「富豪」だというポール・カービー(ウィリアム・H・メイシー)と妻のアマンダ(ティア・レオーニ)があらわれ、自分たちの結婚記念日に「サイトB」を飛行機で空から眺め、恐竜をじっさいに見たいので案内をしてほしいと言う。「研究資金は好きなだけ提供するから」という言葉に引かれてしまい、ついついアランは承諾してしまう。飛行機にはポールとアマンダ、そしてポールの部下3人とアラン、そしてアランの助手のビリーとの7人が乗り込む。

 しかし飛行機はただ島の上空を飛ぶのではなく、アランの制止を振り切って島に着陸してしまう。実はポール夫妻の息子のエリックが、8週間前にこの島にパラグライダーをやりに行き、そのまま行方不明になっているのを捜索することこそが目的で、じっさいのところポールはそこまでの富豪でもないことが明かされる。
 島に降り立った夫妻はすぐに息子探しに取り掛かり、アマンダなどは拡声器を持ち出して息子の名を大声で連呼したりする。ああ、この作品にも「いら立つおバカキャラクター」が登場するのか、という感じではある。
 それでやっぱり恐竜(今まで登場しなかった「スピノサウルス」という種)があらわれ、ポールの部下が殺され、残った連中は急きょ飛行機で島から脱出しようとするが、飛行機は離陸寸前にあらわれたティラノザウルスに激突し、大破してしまう。
 一行は海を目指しながらエリックを探すのだが、なんと一人でサヴァイヴァル生活をしていたエリックとめぐり合う。あとはどうやって島から脱出するか。

 っうことで、尺が94分と長くはないこともあり、一気に観てしまった。この作品はスピルバーグ監督ではなく(彼は「製作総指揮」)、ジョー・ジョンストンという人が監督。この人は本来「視覚効果」のスペシャリストだったようだ。そしてマイケル・クライトンの原作という枠も外れ、オリジナル脚本になっている。
 出演はほとんどが5人だけ(冒頭、ラストにちょっとだけ第一作出演のローラ・ダーンも登場する)というのもわかりやすいというか、後半はストレートなサヴァイヴァルものになっていて、余計な「ジュラシック・パーク」の背後事情など説明しないでグングンと進行する。登場する恐竜たちもさらにパワーアップしたというか、登場人物らが追われるシーンはスリリング。

 これは設定的にさいしょの『キングコング』(1933)を思い出させられるものがあるというか、「何が飛び出して来るかわからない」島の中を、無力な人間たちが進んで行くわけだ。『キングコング』ではさらわれたフェイ・レイを捜索に皆が島の奥地へ進むけれども、この映画では行方不明になったエリックを探すわけだ。まあエリックは早い段階で見つかるが、そのあとは「どうやって脱出出来るか?」という興味で引っぱられる。シリーズ前作までのように余計な人物は登場しないし、ただ密林と廃墟だけなのがいい。『キングコング』のように、恐竜同士の迫力のある戦いも見られて楽しめた。

 冒頭の演出から「これはスピルバーグの演出ではないな」と思わせられるのだけれども、けっこううまく演出されていた印象。さいしょは「おバカキャラ」になるのかと思われたアマンダも、のちには機知をはたらかせて恐竜の攻撃をかわしたりするし、『ファーゴ』の印象からも「へなちょこ」なのかと思ってしまった、ウィリアム・H・メイシー演じるポールも、さいごには勇敢さを見せて皆を救い「おおお!」と思わせられる。それで実はこのとき離婚していたポールとアマンダも、愛情を取り戻したかに見える(アマンダの再婚した夫は、エリックとのパラグライダーで死亡してしまった)。また、アランと助手のビリーとの関係の描き方も納得した。

 今まで「ジュラシック・パーク」シリーズを3本観た中では、わたしはこの「III」がいちばんのお気に入りで、これだったらソフトを購入して、何回も観てもいいと思ったのだった。