ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2022-12-31(Sat)

 昨夜の続きになるけれども、わたしにとっては深夜になる夜中の10時から、テレビで「映像の世紀 バタフライエフェクト」というドキュメンタリー番組があり、その番組を見たのだった。
 番組はチェコの「プラハの春」(1968)から「ビロード革命」(1989)にかけての動き、そして東ドイツはベルリンでの「ベルリンの壁崩壊」(1989)へと至る社会の動きを、ミュージシャンの行動を軸に描き出したもの。番組紹介では「3人のミュージシャン」(二ナ・ハーゲン、ルー・リードデヴィッド・ボウイ)と紹介されていたが、じっさいにこの番組に出て来る「東欧の自由化」に貢献したミュージシャンは、チェコのマルタ・クビショヴァーという歌手(チェコの「国民的歌手」という)、PPU(THE PLASTIC PEOPLE OF THE UNIVERSE)というバンドも重要な役割を持って登場する。さらに重要な政治家として、チェコで劇作家としてスタートしたヴァーツラフ・ハヴェル、そしてドイツでは物理学者であったアンゲラ・メルケルの2人が登場した。

 わたしはもちろん二ナ・ハーゲンやルー・リードデヴィッド・ボウイらのミュージシャンは知っていたが、そんなミュージシャンらが東欧の自由化に果たした役割についてはまるで無知であったし、マルタ・クビショヴァーやPPUについては知ることはなかった。
 あまりに長くなるので要点だけを書くが、のちにチェコ共和国の大統領となるハヴェルは若い頃に西側に旅をし、そこでヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムを購入し、帰国して皆に紹介する。チェコアンダーグラウンドではヴェルヴェット・アンダーグラウンドの人気が(おそらくは世界中でいちばん)上がり、それを契機にしてPPUというバンドが誕生する(ただ、バンド名にある"Plastic People"というのはフランク・ザッパの曲名から取られているようで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドから誕生したバンドとは言えないように思う)。ここに、ルー・リードがこのドキュメントに登場するわけが示され、のちに彼はハヴェルに招かれてプラハを訪れ、PPUと共演するのである。
 デヴィッド・ボウイはベルリンと深い関係があり、70年代後期にしばらくベルリンに移住したこともあったし、ブライアン・イーノと製作した3枚のアルバムは「ベルリン3部作」とも呼ばれるらしい(わたしはデヴィッド・ボウイはあんまし聴かないのでよく知らない)。そしてベルリンの壁崩壊の2年前にはベルリンでライヴを行い、スピーカーをあからさまに東ベルリン側に向けてライヴを行ったのだった。
 二ナ・ハーゲンはわたしは彼女がイギリスに亡命した以降に聴き始めたので、それ以前、ドイツ時代の彼女を知ることはなかったのだけれども、彼女が19歳のとき、彼女は「カラーフィルムを忘れたのね」という体制批判の曲を東ドイツで大ヒットさせていたのだった。この曲はのちにドイツ首相になるメルケルの記憶に残ることとなり、メルケルは去年行われた退任式で、この曲を演奏してもらうことをリクエストしたのだった。彼女は「この曲は青春時代のハイライトだった」と語ったという(Wikipediaによる)。

 昨日の昼に観た『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years』に引きつづいての「音楽モノ」ドキュメンタリー、それも「音楽と社会」との関係性をも探る映像を続けて観た感じで、自分の中ではけっこう充実した一日になった。

 それでようやくこの日、12月31日の「おおみそか」になるが、やはり予想していた通り「何もない一日」になった。今日も外は晴天でいい天気のようだけれども、わたしは一歩も外には出なかった。もう残り数ページになっていた『物語 世界動物史』をようやっと読み終えて、それで予定通り『パリが愛したキリン』を読み始めた。まずはそのキリンがフランスへ贈られることになる以前のエジプトの歴史から書きはじめられていて、エジプト周辺の地学を含めて、今までわたしの知ることのなかったエジプトについての「お勉強」という感じだが、とっても面白く、わたしとしては珍しく、一気に50ページぐらい読み進めてしまった。

 ネットをみていると、昨日注文した「美術手帖」を「配達いたしました」という知らせが来ていて、ずいぶん早いなあと感心する。注文してから18時間ぐらいしかかかっていない。今のAmazonは生鮮食料品でも「最短2時間で配送」などということもやっているようだし、地域のあらゆる小売店にとっては脅威だろう(地方の書店が衰退している原因の一つに「Amazon」の存在があるともいう)。まあそういう生鮮食料品の注文には「最低注文金額」(そりゃああるだろう)とか「配送料」(8000円とか買うと配送料も無料になるらしいが)とかあるらしいが。

 届いた「美術手帖」は鴻池朋子の特集で、これは9月に高松美術館から始まって今は静岡県立美術館で巡回開催されている、彼女の大規模な個展「みる誕生」に合わせての総特集で、ぎっしりと情報が詰まっているようで「読みごたえ」も「見ごたえ」もたっぷりありそうだ。その「みる誕生」展が近くに巡回して来たなら、ぜったいに行きたいと思う! 改めて言えば、わたしは現代の美術作家ではこの鴻池朋子に(この10年ぐらい)最高のインスパイアを受けていて、大好きなのであるが、このところ東京周辺での彼女の展覧会がなく、淋しい思いをしているのだ。

       

 昼食は昨日買った「ミニロースカツ重」ですませ(やっぱり、もっと大きなカツ重とかカツ丼が食べたいな)、昼間は何をしたわけでもなく、テレビで今日は数少なくなっていた報道バラエティを見ていた。そんな番組も終わり、「何か観たいな」と思い、Amazon Primeでドキュメンタリーを検索したら「上野動物園の世界」というのがあったので、これを観る。まあもうちょっと突っ込んだ解説が欲しかったところだけれども、誰が見ても楽しめるナレーションを含め、楽しめた(後半、そのナレーションもなくなってしまい、ただ映像だけになったのは残念だった)。わたし的にはプレーリードッグがかわいかったな。
 夕食に昨日買った「天ぷら盛合せ」を大根おろしといっしょに食べて、けっこう満足したが、エビはちょっと小さかったな。

 今日でいろいろあった2022年もおしまいだ。わたしにとってもニェネントくんにとっても、病気でツラい年でもあった。とにかく来年の正月4日にはニェネントくんも「抜糸」の予定だし、前の元気なニェネントくんが復活してほしい。