ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2022-10-19(Wed)

 煉獄にさまようような火曜日が終わり、この水曜日もずっと寝ていて、「仕事に行こう」などという発想が起きていない。そういうところでこの水曜日の早朝も、「嵐」を引きずっていたのだろう。

 寝ているとリヴィングの固定電話の呼び出し音が響いた。時間は朝の4時半ぐらいだ。「これは会社の人からではないのか」と、ずいぶんと待たせてから起き出し、ようやっと受話器を取った。
 電話はやはり勤務先の人で、まずは昨日一昨日(今日もだ)と無断欠勤したことを詫び、持病の「側頭葉てんかん」の発作が起きて記憶障害を起こしていたことを伝えたのだが、その方のおっしゃるには、わたしは一昨日の月曜日にはちゃんと出勤していたということだった。
 ここでわたしは、自分が確かに月曜日に仕事をしていた情景も思い出すことが出来、かえって「自分の記憶障害の重さ」を思うのだった。
 わたしの仕事というのは「現場」での担当はすべてわたし一人が請け負っているわけで、先に連絡を入れておかないでの欠勤、つまり「無断欠勤」などということは「とんでもないこと」である。
 会社の方はそういうことで、「もはやわたしを雇用し続けるわけにはいかない」という話だった。わたしもちょっと軽く考えていたところがあって「あまい」のだが、この種の一種「請負仕事」では、その仕事を「すっぽかす」というのはまさに「雇用契約の解除」に直結するのである。
 とりあえず、明日にその<側頭葉てんかん>でのかつてのかかりつけのクリニックに予約を入れたことを伝え(勤務先の方にとっては「どうでもいいこと」だっただろうが)、明後日に預かっている勤め先ビルのカードキーを返却するため(置いてある私物を片づける)ため、飯田橋の勤め先だった(もう「過去形」であろう)ビルへ行くことを伝えた。
 ここで「無職」に転落し、求職活動をしなければならないこともさすがにつらく、「そこをなんとか」などと泣きつくのだが(いや、泣いてはいないが)、「もしも新しく求人して応募者がなければ、またあなたに来てもらう可能性もある」というご返答だった。まあ「考えにくい事態」ではあろう。

 とりあえずはこの日はウチでまったりする。胃の調子がまったく良くなく、な~んにも食べる気がしない(食べてもどんなものもまったく美味しくない)。昼食は無理して残っていたものを食べたけれども、食べると吐き気がしてくる。

 この日はずっと、ニェネントくんがわたしのそばにいてくれて、わたしをなぐさめてくれた。いつもならわたしがリヴィングでゴロゴロしていても、和室の押入れの中の「自分の隠れ家」に引きこもっていることも多いのだけれども、この日はずっと一日中、リヴィングのわたしの近くでじっとわたしのことを眺めながら、まったりと「毛づくろい」とかをやり続けていた。
 ネコのニェネントもそのあたり、ネコらしくもニェネント特有の「超能力」を発揮して(とにかく12年以上いっしょに暮してるのだから)、「あなた、昨日今日と様子がおかしいよ!」とウォッチしてくれているのだとわかった。うれしいことである。そんなニェネントくんを見つめていると、やはり涙がこぼれて来るのだった。

     

 ケータイのことだが、昨日バッテリー残量がゼロになり、使えなくなっていたのだが、充電のためのUSBケーブルがどこかへ行ってしまって見つからず(これも「発作」の影響のひとつであろう)、あわててAmazonに注文していたのが、早々とこの日の午後には到着した。こういうところはわたしも多少はしっかりしていたのだが、けっきょく「まとも」になったのは昨日の午後からのことで、それよりも前の時間はまさに「前後不覚」だったのではないかとも思える。
 ケータイに関しておかしなことはもうひとつあり、それは朝起きるためのアラームが勝手に(って、わたししかやる人間はいないのだが)解除され、単に「ストップ」されていることを越えて、アラームの鳴る時間などがすべて「消去」されていたのだった。ちょっと「信じられない」ことではあったが。
 まあこのわたしの「室内」に関して、「おかしなこと」は他にもいろいろあるわけだけれども、「そんな服(冬服)、どこから引っぱり出したんだよ!」というような服がリヴィングに脱ぎ捨ててあったりもしたのだ。自分がやったこととはいえ、「わけがわからん」。
 「買い物」に関しても「こんなもの買ったんだ!」というような「おぼえのない」食品類とかが机の上とかに放置してあり、わたしは「家計簿」つけてるのでぜったいにレシートは受け取って財布に入れておくのだけれども、そういう「おぼえのない」モノのレシートはサイフに入っていないのだった。どうも、月曜日に仕事を終えて帰宅の途中で「発作」が起きてしまっていたのではないかという気がする。

 前にも書いたが、わたしの場合の<側頭葉てんかん>の発作は、例えば「倒れ込んで痙攣を起こす」とかいうハデハデしいものではなく、「普通の行動をしている」のだけれども、実はその「行動」をしている「わたし」の意識はそこにはない、というややっこしいことではあったりする。
 もう以前に「発作」を起こしたのは7~8年前のことになるのではないかと思うが、そういうときの典型的な「発作」は、ある目的があって電車に乗っていたときに電車内で「発作」を起こし、「わたしはなんで今こうやって電車などに乗ってしまっているのだ?」と考えることになり、そう考えた次の停車駅で電車を下車し、家に帰ろうとしたわけで、この「症例」は少なくとも2回は同様のことを起こしている。ただ、電車から降りて帰ろうとしたときに「発作」から逃れたというか「本来の電車に乗った目的」を思い出し、また次の電車に乗るのだった。
 そういうわけでそれ以来7~8年は「発作」を起こした記憶もなく、そのせいでこの春から「もういいだろう」「わたしの<側頭葉てんかん>は終わったのだ」と、まさに「勝手に」判断し、明日行く予定の国分寺の「てんかん専門」のクリニックに行くのもやめてしまい、<側頭葉てんかん>の「発作」を抑える特効薬「テグレトール」も、この春から服用していなかったのだった。まさにそのせいだ。
 ただ、2年前の春に<慢性硬膜下血腫>で職場から緊急配送されて入院していたとき、看護士の方はわたしが<側頭葉てんかん>の発作を起こしていたとのことはわたしの前で話されていた(実は愚かなわたしは信じなかったが)。

 さて、新しく購入したUSBケーブルでケータイの充電を開始したのだが、ケータイの表示で「低速充電中」と出て、ものっすごく時間がかかるのだ。これはどういうことなのだろう。

 「夕食ぐらいちゃんと食べなくては」と、午後から東のスーパーへ買い物に出た(自分で何かをつくろうとは思わない)。また「鶏そぼろ弁当」にしようかと思ったが、「ちらし弁当」を買ってみた。
 買って帰り、夕食時間に食べたけれども、やっぱりまるで美味しくなかった。

 「もう寝よう」とベッドにもぐり込むと、ニェネントくんもベッドのある和室に移動して来て、そのうちにベッドの上に跳び乗って来て、わたしの脇腹のところでわたしと並んで寝てくれるのだった。こんなに嬉しいことはない。