ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『シンデレラの罠』セバスチャン・ジャプリゾ:著 望月芳郎:訳

 刊行されたのは1962年ということで、「推理小説」、「ミステリー小説」としては古い時代の作品だとは思う。この作品は当時「フランス推理小説大賞」を」受賞していて映画化もされているし、このあとセバスチャン・ジャプリゾは日本でもヒットした映画の『さらば友よ』『雨の訪問者』、そして『殺意の夏』の原作者でもあり、2004年のジャン=ピエール・ジュネ監督による『ロング・エンゲージメント』の原作もこの人であるという。もう20年も前に亡くなられてしまった作家ではあるけれども、「フランスのミステリー界」では重要な作家であられたのだろう。

 さて、読み始めると、「このトリックは容易に読み解けるな」とは思う。火災で焼死した女性と、大やけどを負いながらも一命をとりとめた女性。これは別に「遺産目当て」で暗躍した女性の策略で、実は「入れ替わっているわけだろう」と思う。
 じっさいに物語の展開はその通りなのだけれども、これがそこで「わかっちゃったよ!」ということで終わるのではなく、そこからの展開がとっても面白いのだった。こういうのはやはり、フランスの作家ならではの「ひねた」視点から生み出される面白さなのだろうと思った。

 映画化されているのならばその映画を観てみたいと思ったが、検索すると今は「輸入盤」でしか入手出来ないみたいだった。残念。
 (このわたしの読んだ翻訳は「古いもの」で、よくわからないが「誤訳」のようなことも含まれていたようで、今では「新訳」が出回っているようだ)