ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019) マイケル・ドハティ:監督

 実はこの作品は、2014年の『GODZILLA ゴジラ』の続篇というか、つながっていて、その『GODZILLA ゴジラ』でサンフランシスコ市街がゴジラのアタックを受け、そのために息子を亡くしたラッセル家の父母と娘がこの映画の中心人物にはなる(それでこの次の続編が、去年公開された『ゴジラvsコング』っつうことになる)。
 日本版のゴジラ映画との関連で言えば、ゴジラのほかにモスララドン、そしてキングギドラが登場するわけで、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)の登場怪獣と同一ではある。

 前作でゴジラが海に消えて以後、「モナーク」という組織は世界中のあちこちに休眠中の怪獣が存在することを発見していた。そして、中国の雲南省の「モナーク」の基地のそばでは、巨大な蛾の幼虫が孵化するところだった。ラッセル家の3人もその場に行くのだが、そこに、なんちゅうのか、「環境テロリスト」とかいうヤツらが乗り込んできて、ラッセル家の母と、怪獣と交信するというコンピュータ装置「オルカ」とが拉致、略奪されてしまう。
 彼らは地球環境を破壊し続ける人類はいちど、絶滅にちかいところまで怪獣群に痛めつけられた方がいいと考えているようで、実はラッセル母はその考えに同調している(テロリストによる拉致も、ラッセル母が仕組んだものだったかもしれない)。
 そんでもって、その「オルカ」を起動させることで南極で三つ首の怪獣モンスター・ゼロは覚醒するし、メキシコの火山からはラドンが飛び出し、ゴジラもまた登場するのだった。
 「モナーク」はそもそもは怪獣を退治しようとしていたのかもしれないが、のちに「キングギドラ」と名付けられたモンスター・ゼロらを打ち倒すのはゴジラをおいて他にないと、けっこうゴジラ応援モードにはなるのだった。ここに、怪獣らの大乱戦が始まるのだ。

 出演者にはわたしの好きなサリー・ホーキンスチャン・ツィイーなども「モナーク」の科学者として出演しておられたが、サリー・ホーキンスは南極で死亡してしまう。チャン・ツィイーはけっこう面白い役どころで、それら登場してくる怪獣たちの起源を、(主に壁画や絵画などによってだが)神話や伝説などに探り、「モスラ」や「ギドラ」などの命名者みたいになる。彼女の引き出す資料群が面白く、中世の版画であるとか、ウィリアム・ブレイクのドラゴンの絵などを見せ、それら怪獣らが人間の歴史の中で古くから姿を現していたとするのだ(どうやら、キングギドラは地球外から飛来したモノらしいが)。
 ただ、人間たちのドラマは、短時間内に話をうまく進行させるためだろうが、不自然だったりドタバタしたりはしていたと思った。

 それでもやはり、怪獣たちはけっこう皆さん魅力的で、特にキングギドラはまさにウィリアム・ブレイクのドラゴンを思わせるところもあり、ゴジラとの格闘シーンも迫力があった。
 モスラの造形は、日本版の「モスラ」は頭がデカすぎたりしてリアルなものではなかったけれども、幼虫にせよ成虫にせよ、けっこうリアルなモノになっていたと思う。成虫は、空をはばたく姿こそはそこまでにリアルではないのだが、そのシーンだけは幻想的なファンタジーじみた映像になっていて、この作品のちょっとした魅力になっていたと思う。