ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(2007) ダリオ・アルジェント:脚本・監督

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 ローマ郊外の墓地の外縁敷地で棺と箱が発掘され、「これは何だ」と近くの博物館に遺物の入っていた箱を送るのだが、それは200年前に葬られた魔女の遺物だったのだ。お定まりの展開で、それを開けちゃいけないのに開けちゃって、魔女が復活してローマの街を支配しようとするだね。それを阻止せざるを得なくなるのがサラという女性で、すでに亡くなった彼女の母は魔術を抑え込める力を持っていて、その力はサラにも引き継がれていたのだった。

 ‥‥根底にはそういう中世の「魔女伝説」みたいなものがあり、それが現代によみがえるのだよという見せ所はあるのだけれども、その「魔女伝説」はストーリーをつなげる役を果たし得ず、ストーリー展開の基本は「連続殺人事件犯」に追われるヒロインの「逃亡劇」というようなサスペンス・ミステリー。それを実にエグい殺人シーンでつないでいく。
 ラストはよみがえった魔女たちのオージーパーティーみたいになりそうなところで、ヒロインがちゃっちゃっと「魔女の遺物」を焼き払い、天変地異、局所的な「大地震」かよ?ってことで魔女はおしまい。このあとヒロインは汚物まみれになりながら地上に生還して彼女を助けた(じっさい、ほとんど助けてない)刑事といっしょに大笑いしておしまい。ストーリーだけ書くと実に能天気だ。

 ヒロインのアーシア・アルジェントは監督のダリオの娘で、彼女は前にも何かの父の監督作品に主演していて、そこでも途中、ウジ虫だらけの水たまりに投げ込まれるシーンがあった。こういう、父が娘に過酷な体験を強いるというのはいったいどういう心理から来るのだろうか。よその女優には強いることができないけれども、自分の娘だからやらせちゃうのだよ、ということなのだろうか。わからない。いやいや、この作品ではあの名優(?)ウド・キアもすごい殺し方してるしな(「錬金術師」役で、フィリップ・ルロワも出演されていた)。

 けっこう、博物館の中だとかカタコンベだとか、迷路的な空間、暗い空間の撮影にやはり一日の長があり、「さすが」という思いで見させていただいた。しかし、「いかがなものだろうか?」という作品ではあった。