ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『団地妻 白昼の不倫』(1997) 小林政広:脚本 サトウトシキ:監督

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 以前観た傑作ピンク映画『団地妻 奥様はゆうれい』(劇場公開時タイトルは『不倫日記 濡れたままもう一度』)に引きつづき、小林政広脚本、サトウトシキ監督、葉月螢主演という「黄金トリオ」による作品。楽しい。

 団地の棟のあいだを歩いてくる葉月螢をカメラが追い、葉月螢のモノローグがかぶさる。「わたしの名前は坂井朝子、朝は早起きの朝子です。おっちょこちょいの朝子でもあります。」
 もう、この葉月螢独特の、棒読みに近いイントネーションのモノローグを聞くだけで笑ってしまう。そう、この作品は「喜劇」なのだ。

 団地に住む朝子は、夫(本多菊雄)と結婚8年目。夫は毎日仕事の帰宅は12時頃。どうやらこれまでさんざん浮気してきたらしいが、今はどうやら落ち着いているようだ。しかし夫としてはセックスのときに朝子がいちいち「気もちいい~」という言葉をくり返すのがイヤなのではある。

 朝、夫が自転車で出勤してしまうと、朝子は団地の同じ棟、となりの部屋のミチコと遊ぶ。だいたいはボウリング場へ行くようだが、朝子はボウリングがちっとも上達しないでいる。二人はそのボウリング場で野口という男(川瀬陽太)と知り合う。「なるほど、この男と不倫するわけか」と観ていても、これがなかなか進展しない。逆に野口はミチコと不倫するのだった。

 一方、朝子の夫は毎朝、自転車にまたがって出発するときに、やはり自転車に乗る女性(長曾我部蓉子)に「おはようございます」とあいさつされ、「ようし、きょうもがんばるぞ!」と自転車をこぐのである。こちらはこちらで、この二人は不倫しそうなものではあるが。

 毎朝、夫が家を出るとき、朝子は目を閉じて口を突き出し、キスを求めるのだが、夫はいつも無視して行ってしまう。セックスが一週間もなかったりする。部屋のとなりから、隣家のミチコが旦那とセックスするよがり声が聞こえてくる。朝子は「つまんない」とひとりごちるのだ。
 ある朝、朝食を食べながら夫は朝子に「離婚しようか」と言う。朝子はおどろくのだが、夫は「冗談だよ」といい、朝子にキスするのである。

 別の日、朝子は夫に「あなた、湯豆腐食べたいって言ってたでしょ? 今夜湯豆腐つくるから、早く帰って来てね」と送り出す。
 夕方、湯豆腐の材料を買い物して帰路に着く朝子は野口にばったり出会い、野口の言うままにホテルに入ってしまう。いきなりフェラチオを強要され、服を脱がされた朝子は「ダメよ」とホテルを飛び出す。しかしそこで、朝子は夫と出くわしてしまうのだった。
 「これは大変、夫婦げんかだよな」と思って観ていると、二人はどうということもなく湯豆腐を食べるのだった。でも、夫は途中で部屋を出て、団地の外廊下でタバコを喫う。そこに毎朝の彼女が来て、「どうしたんですか?」と話かけ、夫は「妻が浮気してるんですよ」と話す。女性の方も、「わたしも同じ。夫が浮気してるの」と話す。いやこれはついに、この二人は結ばれるかと観ていると、夫は彼女に「今夜、どうします?」と聞くのだが、彼女は「もちろん、帰ります」と。「そうでしょうね」、「もちろん」。

 なんやねん、全然「不倫」しないじゃないか。

 実は毎朝の彼女は朝子を誘った野口の妻で、やはり同じ団地の同じ棟の住人だった。
 風呂に入っていた朝子は帰って来た夫に、「あなた、誤解なのよ。わたしが愛しているのはあなただけ」と語るが、夫は「寝るよ」と先に寝てしまう。

 別の日、夫が帰宅すると朝子はひとりでワインを飲んでいた。朝子は夫にも「飲め」と勧め、ちょっとしたやり取りのあと、二人でワインを飲む。朝子は「ずっとあなたに恋してた。浮気なんて、一度も。死ぬまであなただけでいいと思ってた。でも、あなたは違ってた。ずっとわたしのことなんかどうでもよくって、ずっと他の女と。」と語り、夫は朝子の服を脱がしてセックスする。
 同じとき、となりでもミチコが旦那とセックスをしていた。同じとき、自転車の彼女も、実は彼女の夫だった野口とセックスを始めるのだった。

 ラストは朝子のモノローグで、「多分、わたしの最後の恋は、この人とのクソ面白くもないセックスに明け暮れることなんだと思います。」と。

 やはり、登場してセリフを語り、モノローグがかぶさるだけですべてを「葉月螢ワールド」に持って行ってしまう葉月螢の偉大さ、なのだけれども、それを支える小林政広の脚本のすばらしさがあるし、サトウトシキの演出の巧みさが輝く作品。
 セックスのあと、夫と話しながらティッシュを丸めて股間を拭いていた朝子がポイとティッシュを投げ捨て、カメラが床に転がるティッシュを捉えたショットはよかったな。
 そして、外廊下での夫と自転車の彼女との会話のあと、いくつかはさみ込まれる東京の夜景のショット。

 まあはっきり言って傑作『奥様はゆうれい』には及ばないとはいえ、充分に楽しめる作品ではあった。それで、この「葉月螢、小林政広サトウトシキ」のトリオによる作品は他にないものだろうかと探したら、この2年後の作品に『新・団地妻 不倫は密の味 今宵かぎりは…』というのがあり、どうやらその作品でも葉月螢は「朝子」を演じ、その夫を同じく本多菊雄が演じるという、この作品の続編的な作品があるようだった。
 どうもその作品、以前「GYAO!」の無料配信のリストに載っていたように思う。見逃してしまったかと思うけれども、「GYAO!」では時期を置いて同じ作品を何度も配信するので、気長に待つことにしよう。