ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2020-11-13(Fri)

 舞踏家(という呼称は正当なのかわからないが、人によってはこう呼ばれることを嫌う)であり、映画作家(という呼称は許してもらえるだろうか)でもあられた岩名雅記さんが亡くなられたとの報を、ツィッターで読んだ。とても悲しい知らせだ。
 わたしと岩名さんとの交流がどのようにして始まったのか、今では思い出すこともできないけれども、とにかくまずは岩名さんの舞踏公演を観に行くことから始まったのだろう。そのうちに岩名さんが映画を製作するようになり、その映画の感想を伝えることでだんだん親密になったのだろう。いきさつはこれも思い出せないのだけれども、彼の映画第3作『うらぎりひめ』ではなぜか、その映画パンフレットにわたしの文章が掲載された。ちょうどそのころ、自分の文章の文体でいろいろ試行錯誤していた頃でもあって、その内容と共にまさに「赤面」モノの文章だった。岩名さんには申し訳なかったと思っている。
 その罪滅ぼしというか、第4作の『シャルロット すさび』製作のときは、クラウドファウンディングでわたしとしてはせいいっぱいの協力をさせていただいた。『シャルロット すさび』が完成して劇場公開され、もちろんわたしも観に行って岩名さんにお会いし、感想を問われもしたのだけれども、ダメな映画だったからというのではなく、それはまったくそれまでに観たことのないような映画だった。今思い出しても強烈なイメージにとらえられるのだけれども、わたしにはどうしても観た感想を言葉にすることができず、岩名さんに伝えることができなかった。このこともまた、岩名さんには申し訳なかったと思っている。
 岩名さんは第5作になる映画を製作中と聞いていたが、突然の訃報におどろき悲しんだ。さいごにお会いしたのは、彼のソロ舞踏公演でのことだったと思うけれども、あまりお話もせずにわたしは会場をあとにした(このこともまた、申し訳なかったと思っている)。
 岩名さんの「舞踏」は、性的なメタファー、表現も多用されていたのだけれども、そんな舞台の中で、ただ身体が突っ立っているということの「凄み」がにじみ出ていたと思い、そういう舞台を思い出しても「じわ~」っときてしまう。

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 思い出してみると、どうもあまり岩名さんといっしょに飲んだりした記憶が残っていない。これはたとえば岩名さんの舞台の「打ち上げ」の席などでも、岩名さんの周囲には一種の「老害」、「<舞踏>というものはだねえ」だとか、「土方は‥‥」などと語り出す年配の方々があふれているわけで、わたしはそういう人たちと会話することが耐えられないので同席しないようにしているのだった。
 これは他の<舞踏>の方の舞台でも同じことで、けっこう親しくしていただいている方の舞台でも、はねたあとにいろいろとお話をしたいとは思っていても、やはり周囲にそういう「老害」な方々があふれることになるので、お話もせずに帰ってきてしまうのだ。
 そういう意味でも、岩名さんとの交流を思い出しても「わたしはダメだったなあ」という記憶が先立ってしまう。そんなうちに岩名さんは旅立たれてしまわれた。新作映画を観て、こんどこそはちゃんと感想を伝えたかったのだが、今はただ追悼するしかありません。

 さて、昨日はあまりに寒かったので、今朝はちょっと着込んで、先日買った新しいパーカーを着て、マフラーをして出かけた。ところが、新しいパーカーのポケットに手を突っ込んでいると、「あれれっ?」、ポケットに穴があいている。見てみると、破れているのではなくって縫製で失敗しているのだった。「返品しようか?」とも思ったけれども、もうすでに買ったときのレシートは処分してしまっているし、返品交換はもう不可能だろう。まあそんなに大きな穴ではないし、注意して使うしかない。

 勤め先の駅で降りて外を歩いていると、ビルのあいだからきれいな三日月と、そのそばに明るい星が並んでいるのがみえた。トルコの国旗を思い浮かべた(パキスタン国旗も似ている)。あの星は「金星」なのだろうか。「夜景」モードで撮影したら、月も星もくっきりと写すことができた。

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 けっきょく昼になると晴れて気温も上がり、昨日のように「寒い」ということもなかった。
 実は今日は仕事のあと有楽町のあたりに出て、観たい展覧会をやっているギャラリーを2軒ほど巡回しようと思っていたのだけれども、このところ報道されているCOVID-19感染者数は増加するばかりで、どうもこれは春や夏の「COVID-19禍」を超えるものではないかと思えるのだった。今数値の出ている感染者数は、つまりはしばらく前に感染した人が発症した結果の数字であり、今げんざいの「感染の危機」というのは数値で出ている以上のものではないかと想像し、自分の中では今はまさに「緊急事態」という認識になった。
 だから今日はギャラリーとかには行かずにまっすぐ帰宅し、これからも映画館で観たい映画もあったけれども映画館にも行かず、仕事での出勤はしょうがないけれども、それ以外では春のように「Stay Home」しよう、ということに決めた。

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