ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2020-09-06(Sun)

 ご承知のように(?)、ニェネントはわたしがベッドで寝る前に「かまってよ~!」とやって来るのがお決まりなのだけれども、わたしがしばらくかまってあげて「もういい!」というところまでくると、ベッドから跳び下りてしまっていた。それがこの2~3日、ベッドの下にいかないでわたしの頭の横でしばらく伏せっている。寝てしまうことはないのだけれども、「ココが好き!」というか、「あんたのそばにいたいんだよね」という感じで静かにしている。ただ、伏せっていながらもしっぽをペタン、ペタンと左右に振って、わたしの腕に当たるのである。その感触が、こういっちゃアレだけれども何だか愛撫されているみたいで、こそばゆい、くすぐったいなのだ。とにかくはわたしとしてはこのところ、勝手にそれを「ニェネントの愛情」と思ってうれしがっている。ちょっと最近、また鼻の上の黒ずみが目立つようになってるな。

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 今日は日曜日なので午前中はスーパーに「買い出し」。レタスのストックがもうないので「200円ぐらいしても買おうか」と思っていたのだけれども、スーパーに行ってみるとひと玉98円で売られていてよろこんだ。ようやく「野菜の高値」も終わっただろうか。

 帰宅してまた昼食はスパゲッティ・ミートソースにして、ちょっと酒を飲みながら日記を書いていると、窓の外で雨だれの音が聞こえてきた。見てみるとけっこうの雨だった。また最近は不安定な天候になってきて、つまりは季節の変わり目なのだろう。わたしは久しぶりに「GYAO!」の無料配信で『寝ても覚めても』という映画を観た。

 さて夕食の時間だが、まずはまた「ポテトサラダ」をつくるが、今回はついに「きゅうり」があるので、きゅうりをスライスしてまぜた。わたしの個人的な感想だが、「ポテトサラダ」には「きゅうり」が入ると格段においしくなる。真面目な「ポテトサラダ」には、「きゅうり」は欠かせないと思う。じっさい、出来上がりは抜群においしかった。
 それから、冷蔵庫にはまだ「きゅうり」が残ってるし、「ナス」もいっぱいある。そんな二品で何かつくれるだろうかと検索したら、まさに「ナスときゅうりの炒め物」というメニューがあり、「夕食はこれだね」と決定。これが素っ気ないぐらいに簡単で、ほんとうに「ナス」と「きゅうり」しか使わないし、気分的にはもうちょっと、肉とか入れてもいいんだけれどもと思うのだが、「必要ない」というのでそれで完成。
 今日はほとんどヴェジタリアンの食卓になったが、けっこうおいしかった。この「ナスときゅうりの炒め物」はまたやってみようか。

 寝るときはパトリシア・ハイスミスの『黒い天使の目の前で』のさいごの作品、『黒い家』を読んですべて読了。あとの時間はナボコフの書簡集を読んでいたが、ニェネントくんが「かまってよ~」と来たのでそこまで。

 『黒い家』は、ニューヨーク州北部の小さな町キャンフィールドが舞台というが、これは架空の町だろう。住民の多くは中産階級で、親の代から二百年来住みつづけるような人たちばかりで、町民ら互いの結びつきはきわめて強いらしい。書いてはいないけれども、政治的には保守的なコミュニティではないかと思う。その町の外れの丘の上に、問題の「黒い家」がある。大きな3階建ての立派な建物だが、誰もその家の持ち主のことは知らず、町の人は「空き家」としてしかその家を知らない。
 それで、毎週日曜日の午後、教会のあとか何かで町の男たち(だいたいは中年)は教会近くの飲み屋に集まり、雑談を交わすのだった。それであるとき話題がその「黒い家」の話になり、「初めてのデートを黒い家でやった」という男もいるし、「あそこには幽霊が出る」と話すものもある。そんな話に飲み屋にいた若い男(23歳)のティムが興味を持つ。
 別の日にある男に会ったティムは、むかし「黒い家」で殺人事件があり、死体が発見されたという話を聞く。ティムはどうしても「黒い家」に行ってみたくなり、ある夕方にじっさいに行ってみるのだが、建物の階段は上がったものの、壊れているドアを開けて中に入る気にはならなかった。
 次の日曜にいつもの飲み屋に行ったティムは、「黒い家に行ってみた」と話すのだが、皆に「それで、中に入ったのか?」と聞かれ、それを否定すると「それじゃあな」みたいな皆の反応だった。
 「やはり中に入らなければいけないな」と、ティムはある夜中についに黒い家の中に入る。すべての部屋を見てまわるが、何も不審なものもなく、ただ普通の空き家という感じだった。
 次の日曜、ティムは「黒い家に入ってすべての部屋を見たけれども、何もなかったよ」と語る。そこにはティムよりずっと年上の4人の男がいたが、そのうちのひとりがティムに「おまえ、今なんていった?」とからんでくる。「何もなかっただと?」といい、「おまえ、表へ出ろ!」とけんかを吹っ掛けるのだ。他の3人は「やめろよ」といいながらも、ティムへの視線は冷たく険しい。
 外に出たティムはとたんに男に殴られ、転倒して頭を強打して死んでしまう。もちろん男は逮捕されるが、裁判では「殺意なき殺人」として罰金刑だけで処理される。時をおいて男はまた飲み屋に出かけ、あの時の3人と顔を合わせるのだが、男は「3人はオレのしたことに敬意を抱いているにちがいない」と思うのだ。
 これは、男たちのグループにはその「黒い家」をめぐって、他人に干渉されたくない秘密の絆があると考えていいのではないかと思う。その「絆」は4人の男だけのものではなく、ある程度年配の町民に共有されていたものではないだろうか。そのことに無自覚だった若いティムは、彼らの「タブー」に触れてしまったというか、琴線にふれてしまったのだろう。
 では、過去にその「黒い家」で何があったのか? 単に昔は若者だった男たちの、『スタンド・バイ・ミー』的なちょっとした冒険譚だったかもしれないし、うわさされた「殺人事件」に関係する犯罪行為だったのかもしれない。どちらにせよ、ティムは無遠慮に彼らの「世界」に土足で踏み入るべきだはなかったのだろう。