ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『死闘!南太平洋』アメリカ軍戦時情報局:製作

 このドキュメンタリーは太平洋戦争中、アメリカ軍戦時情報局によって作成されたもので、1943年の12月に開始された連合軍(もちろん、このドキュメンタリーではアメリカ軍を中心に撮っている)によるニューブリテン島攻略作戦の映像。

 ニューブリテン島というのはニューギニアの東にある東西に長い島で、その東端にはラバウルがあり、1942年以降、当時の日本軍の拠点ではあった。1943年にガダルカナル島を日本軍から奪回したアメリカ軍は、その勢いのままニューブリテン島の西側の攻略を開始する。もちろんまずは海からの上陸作戦があり、そのあとは日本軍との白兵戦をおこないながらジャングルを東へと進んでいく。
 これはアメリカで映画館などで一般市民に公開されたドキュメンタリーなのだろう。まずは「ジャングルを突き進むこと」の困難さが説明され、けっこう子細な「上陸作戦」が説明されるのだが、まずは「アラウェ岬」付近への上陸には軍を3つに分けて、先行部隊は岬の東から上陸を試み、残る2部隊が西側から攻めるという。

 しかし、見ているとつまりは先行部隊の被害がいちばん大きかったということで、それは当然だろうというか、先行部隊は単純に日本軍の攻撃をひきつける「おとり」ではないか。いや、そんな「おとり」部隊に配属されたら「不運」では済まされないな。というか、この「アラウェ岬攻略」のあとに「グロスター岬」への上陸作戦が開始されるのだけれども、そもそも、先の「アラウェ岬攻略」全体が「おとり作戦」だったようだ。
 ゲームだったらアレだけれども、現実の「おとり作戦」には生身(なまみ)の兵士が配置され、そのうちのあるものは命を落とすだろうと予測がつくというか、その死傷率は他の舞台よりも相当クラス上だろう。変な話、「日本軍だったら平気でそういう作戦を立てただろうな」と思うわけだが、アメリカ軍もやはりそういう作戦を立てるわけだ。むむ、やはり「戦争」というものは残虐なものだ。

 現実のジャングルでの白兵戦は、やはり視点がアメリカ軍からのものだけなので、「どこに日本兵がいて攻撃してくるのか」さっぱりわからないわけで、まあそういうのが実際の「戦闘」というものの一面ではあったのだろうか。

 このドキュメンタリー製作時に連合軍と日本軍との戦闘は終了しておらず(この戦いは日本の敗戦時にもまだ継続していたという)、ドキュメンタリーのラストは犠牲になったアメリカ軍兵士の現地での軍葬、埋葬までということになっていた。現在の「戦争」とはこのような「白兵戦」の形態をとることはないのかもしれないけれども(そんなことはないか)、月並みな感想だけれども、やはり強く、「もう<戦争>というものはなくさなければならない」とは思うのだった。