ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『かたつむり』(1966) ローラン・トポール:脚本・作画 ルネ・ラルー:脚本・監督

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 『ファンタスティック・プラネット』のルネ・ラルーローラン・トポールによる短編。絵はすべてローラン・トポールだ。

 結末まで含めてのブラック・ユーモア作品で、このあたりはトポールのテイスト全開だろう。トポールのそういう作品(小説)はいくつか邦訳も出ていたし、ポランスキーが映画化した『テナント/恐怖を借りた男』の原作もトポールである。わたしも彼の本を2冊は持っていたのだけれども、いつの間にか1冊だけになってしまった。

 物語はある農夫が巨大な青菜を生育させるわけだが、その青菜を巨大な「かたつむり」が襲い、数を増したかたつむりが人類を襲い始めるというもの。まあ書いたようにやはりブラックな「後日譚」があるのだが、ひとつナンセンスな面白さというのはその農夫がいかにして「巨大な」青菜を生育させたか、というあたりにもあって、このシーンはやはり笑ってしまう。

 かたつむりが人類を襲うシーンには、のちの『ファンタスティック・プラネット』を彷彿とさせるところもあるのだが、「かたつむりが人を襲う」というのは、あのパトリシア・ハイスミスの短編にも出てくる話だ。ハイスミスの作品では巨大なかたつむりが出てくるわけではないが、その「数」で圧倒させる。
 ハイスミス女史はじっさいにかたつむりを観察するのが「趣味」だということだったが、こうしてみると、「かたつむりが人間を襲う」というのは、ある種の人が原初的に持つ「恐怖」なのかもしれない(わたしだって、想像すると恐怖におびえてしまう)。