ユーリ・ノルシュテインのデビュー作だけれども、美術監督のアルカージィ・チューリンとの共同監督で、1917年のロシア革命をモティーフとしながらも、この時代のロシア・アヴァンギャルド芸術へのオマージュを捧げる作品になっている。
おそらくは背景の建築物はA・チューリンによる作画で、人物の部分をノルシュテインが描いたのではないかと想像できる。「すべての権力をソヴィエトに!」のスローガンの下、兵士や民衆が都市を制圧していく描写は「困ったな~」というところもあるのだが、そういう革命に参加したという無個性に描かれた人々よりも、革命勢力に追われてあわてふためくブルジョワらの戯画的描写の中にこそ人間味を感じられ、ホッと息をつける作品かと思う。