ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『バーン・アフター・リーディング』(2008) ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン:脚本・監督

バーン・アフター・リーディング [DVD]

バーン・アフター・リーディング [DVD]

  • 発売日: 2009/09/11
  • メディア: DVD

 どうもコーエン兄弟の作品は、デビューから『ビッグ・リボウスキ』あたりまではもう大好きなんだけれども、それ以降現在に至るまでの作品は、そんな初期の作品のように夢中にはなれないところがある。
 けっきょくどうもわたしは、彼らのシリアスな作品が好きなようで、そんなシリアスな作品の中に「それ、笑っちゃう」みたいなおかしみが加味されているようなところが気に入ってるのではないかと思う。だから、「これはコメディ映画です!」という感じで最初っから笑かしてやろうというのはあまり好みではないのではないかと。

 この、『バーン・アフター・リーディング』は、思いっきりコメディである。5人の(わたし的にはリチャード・ジェンキンスを入れて6人の)スターが共演し、互いにもつれ合った話の中で破綻していくのだ(まあ、一人だけ希望が叶う人物もいるわけだが)。
 これ、観ていると、特にブラッド・ピットの<大バカ野郎>な演技を観ていると、先日観た映画の『ふくろうの叫び』に出てきた、ヤンキーの頭悪い男のことが思い出されてしまい、そう考えるとコーエン兄弟の映画というのは、どこかでパトリシア・ハイスミスの小説と相性がいいのではないかと思ってしまった。シリアスなんだけどおバカ。例えば『ファーゴ』なんかは思い切りそういう映画だったような。
 それで思い出したのが先日読んだ『妻を殺したかった男』の、どこまでもドジな男のことで、ああいう人物はいかにもコーエン兄弟の作品に出てきて笑いを生みそうで、まあやっぱりスティーヴ・ブシェミにやってもらいますか?てな感じではある。

 ところでこの作品、あの偉大なる名撮影監督のエマニュエル・ルベツキが、コーエン兄弟とコレ1本だけ組んで撮った作品なのだけれども、どうしたことかこの作品にはエマニュエル・ルベツキらしさは観て取れなかった。相性が悪かったのだろうか。