ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

文楽2月公演第二部『傾城反魂香 土佐将監閑居の段』@半蔵門・国立劇場 小劇場

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 第二部2番目の演目は、「竹本津駒大夫改め六代目竹本錣太夫襲名披露狂言」として。
 物語は山科で蟄居暮らしをしている絵師の土佐将監を中心に展開。まずは絵から抜け出てその地を荒らす「虎」を、将監の弟子の修理之介がみごと筆で虎を消し去り、一部始終を見ていた将監から「土佐光澄」の画号を与えられる。
 そこにもうひとりの将監の弟子、浮世又平が女房おとくと共に登場する。又平は生まれつきの「どもり」でそのせいで出世ができない。でもこの際、自分にも「土佐」の画号を賜れと望むのだが。そういうところにひとつの「奇蹟」ともいうべきことが起き、又平も「土佐又平光起」の名を許され、さらなる奇蹟で又平の不自由な言葉も治癒してしまうのだ。

 作は近松門左衛門1708年のもの。意外なところで絵画(芸術)の力が示され、さらにラストには又平が歌を舞い、芸能の力をも示されるという作品だっただろうか。江戸の人の芸術、芸能への思い入れを知る思いがする。面白い作品だった。
 というか、序盤に登場する「虎」のかしらがあまりに可愛らしく、客席からどよめきと笑いが起こったのだけれども、あのですね、文楽に登場する「動物」というのは皆かわいい。『本朝廿四孝』、「奥庭狐火の段」のキツネには悶絶したし、去年の公演の『大経師昔暦』にはネコが登場したらしくて、これも写真で見るととてもかわいい。こういうのをホルダーとかストラップとかにして、売店で売ればいいのにと昔から思っている。

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 改名した竹本錣(しころ)太夫には適役というか、太夫の言い回しの多彩さを堪能させてくれる演目であっただろうし、人形遣いの方で、又平を操りラストに華麗な舞を見せてくれる桐竹勘十郎にも注目するのだった。