ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ファーゴ』(1996) イーサン・コーエン:脚本・製作 ジョエル・コーエン脚本・監督

ファーゴ (字幕版)

ファーゴ (字幕版)

  • 発売日: 2015/10/11
  • メディア: Prime Video

 コーエン兄弟の映画は、前からDVDで持っている『ミラーズ・クロッシング』が大好きだけれども、いややはり、この『ファーゴ』が素晴らしい。
 コーエン兄弟作品は、観終わってみると、その脇役らが印象的で忘れられなくなる。『ミラーズ・クロッシング』ではジョン・ポリト(お亡くなりにになりました。追悼)とかJ・E・フリーマンとかが記憶に残るのだけれども、この『ファーゴ』も「脇役陣!」。まずはピノキオみたいな容貌で「この人、木彫り人形?」という感じのウィリアム・H・メイシーという俳優さんはこの映画でおぼえたし、「なにこの人!」という感じのピーター・ストーメアをさいしょにおぼえたのはこの映画だ(すっごい親日家らしい)。警察署長のマージ(フランシス・マクドーマンド)の旦那さんのジョン・キャロル・リンチも、出番は少ないけれども印象に残る(もちろん、「変な顔」のスティーヴ・ブシェミも最高です!)。

 こういう、シリアスなサスペンス・タッチの作品を「笑い」の世界に変えてしまうのがコーエン兄弟のすばらしいところ。
 例えばデビュー作の『ブラッド・シンプル』や、その『ミラーズ・クロッシング』では、けっこうシリアスに「人を殺すということはどれだけ大変なことか」ということが背後のテーマであったりするのだけれども、この『ファーゴ』では、「世の中にはいとも簡単に人を殺してしまう存在がある」というテーマがあったりする。そういう世界を、半分はシリアスに、半分はコミカルに演出する巧みさがこの作品の見どころ。そこを、「何、こんな世界ってありなの?」と演技であらわすフランシス・マクドーマンドの存在が、やはりすばらしいのだ。

 雪景色が爽快で、風邪をひいたときにはこたつに入って(って、こたつを持ってないのだが)この映画を観るのが最高ではないのかと思う。