ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2020-01-18(Sat)

 今日は暗い曇天で寒い。予報では雪にもなるだろうといっている。昼頃にツイッターで「都心では雪になった」というのを読んだので外を見てみると、わずかに降っている小雨がたしかに「みぞれ」のように見える。どうせならいっぱい雪が降れば、わたしの心の方は晴れるように思う。
 いろいろと調子が悪く、わたしはほとんど「うつ」状態である。展覧会を観に行くとか映画を観に行くとかする考えはあるのだが、昨日メガネを壊したりもしたし、いっそしばらくは徹底的にどこにも出かけずに引き籠ろうかと思う。

 夕方にほとんど雨も止んだので、ウィスキーの在庫がなくなったのを補充しに買い物に出る。ちょっと高級な卵が賞味期限が近いので値引きされて売られていたのを買った。わたしの考えでは、卵などというものは賞味期限などないに等しいのだ。普段買う倍の値段の卵、どれだけ味が違うのかためしてみよう(わたしの貧乏くさい献立ではそんな「味の差」は出ないか?)。
 めばちまぐろの刺身がやはり値引きされていたので、「そういえばこの頃、ニェネントくんに刺身を買ってあげてないよな」と思い、買って帰る。もちろんニェネントは生の魚、刺身が大好きだし、食べたあとになって吐いてしまったりは決してしないので安心だ(ニェネントは普通のネコに比べてよく吐くのだ~健康に問題はないようだが)。

 暗くなって、とつぜんに部屋の中に「ドン!」という音が響いた。どこから聞こえてきたのかはわからなかったが、わたしとは別に和室のベッドの上でまどろんでいるニェネントの様子を見に行くと、ベッドの上にいたニェネントが「なんかすごい音がしたね~」というような表情でわたしの顔を見るのだった。どうやら音は2階からだったようだが、ニェネントとちょっとした会話が通じたようで、気分がよくなった。

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 寝るときに、先日古本屋で買った蓮實重彦の『映画論講義』を読んだ。これは蓮實重彦氏のさまざまな場所で催した「講演集」で、平易な文章で読みやすい。さすがにハワード・ホークスジャン・ルノワールの映画はわたしが観ていないので読んでもわからない部分が多いのだが、ちょうど溝口健二の映画に関して、「船」をキーとして語る講演があり、これがとても面白かった。
 溝口健二はサイレント時代からその監督キャリアを築いてきた人物で、そのあたりの蓄積がヨーロッパの観客(批評家、映画監督)にアピールしたのだろうという。「なるほど」と思う。その日本のサイレント映画というものは、当時の欧米のサイレント映画とは別の発展をしたところもあり、つまり溝口健二のヨーロッパでの人気というのは、過去の日本映画への賛辞というところもあるのだろう。
 溝口がその後期に、「船そのもの」を重要な舞台装置とした作品を撮るということはまさにうなずかずにはいられない指摘で、そんな溝口作品の分析を合わせて、とにかくはやはり蓮實重彦という人物がすぐれた映画批評家であることを再認識する。特に一昨日、新藤兼人監督の『ある映画監督の生涯』を観てモヤモヤしていただけに、この文章にスッキリしたのだった。