![クマのプーさん 原作と原画の世界 A.A.ミルンのお話とE.H.シェパードの絵 クマのプーさん 原作と原画の世界 A.A.ミルンのお話とE.H.シェパードの絵](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41QxEhi-4PL._SL160_.jpg)
クマのプーさん 原作と原画の世界 A.A.ミルンのお話とE.H.シェパードの絵
- 作者: アンマリー・ビルクロウ エマ・ロウズ,(公財)東京子ども図書館 阿部公子,富原まさ江
- 出版社/メーカー: 玄光社
- 発売日: 2019/02/28
- メディア: 単行本
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これは本来、この春に渋谷で開催された展覧会の図録として販売されたものだけれども、単独の読み物としてとても充実していて、『クマのプーさん』への理解が深まるのだった。
まずはA・A・ミルンによってどのように『クマのプーさん』の物語が生まれたかが語られ、そこに挿画家としてE・H・シェパードが関わる経緯、ミルンの文章(詩)の構造、構成の分析からミルンとシェパードの共同作業、シェパードの作画術、そして後世への影響などが語られる。
やはりわたしとしていちばん興味深かったのはシェパードの作画に関する章で、この本自体が挿画として多くのシェパードの絵、それも刊行された本に掲載されたものと下書きの鉛筆画が並列して掲載されたりと、どこか19世紀からの挿絵の伝統を引き継ぎながらも、クリストファー・ロビンとプーくまの住む架空の世界「百ちょ森(石井桃子の訳ではこうだったと思う)」にリアルな存在感を与えている。
児童書の挿画というと、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』へのジョン・テニエルによる挿画と、この『クマのプーさん』のE・H・シェパードの挿画、この二つがあまりに有名だと思うが、原作との一体感で「これ以外考えられない」というのがE・H・シェパードの挿画だろうし、何よりもその愛らしさは魅力だ。
わたしは以前からディズニーによる『くまのプーさん』が大っ嫌いだということは書いてきたと思うが、この本にそのディズニーによる「プーさん」も少し紹介されてはいるが、それはたった一枚の絵でしかなく、まあこの本、この展覧会をディズニーの『くまのプーさん』のイメージを見たくって期待した人たちはさぞかしがっかりしたことだろう。
ということで、わたしも今は所持していない『クマのプーさん』の本を、また買って所持しておきたくなってしまったのだった。