ジュリアン・オピーの作品は、一目見れば「ジュリアン・オピーだ」とわかる(ただ、近代美術館に常設されている「日本八景」はわからんが)。基本、彼の作品は単純化された太い黒い線による人物を描いた作品がいちばんポピュラーで、あとはLEDによる様々な作品も記憶にある。そのくらいのイメージでこの展覧会を観にきたのだが、やはり基本は人物を描いた作品。しかし巨大だ。
しかしそれ以外にも、そんな人物の輪郭だけを立体化した、黒一色の等身大ぐらいの作品群、そして風景を描いた作品、動物を立体化した彫刻(?)作品、高層ビル群を立体化した作品(高さを変えられるらしい)、巨大なLED作品と、多彩だ。そして会場に流されている音楽も彼の作品らしい。
もう、この「太い黒の輪郭線」さえあれば何でも作品に出来るぜ、みたいなところもあるのだが、わたしはその「風景画」に使われた、グレートーンの色彩の深みに惹かれるところがあった(って、せっかく撮影OKなのに、そんな風景作品の写真を撮ってない!)。この色彩の選択の妙、というのはあるな。
そんなに点数の多いわけでもない(全部で25点プラス音楽が2)作品群だったけれども、全体を観ると世界(地球)の深みを感じ、人の生み出した「文明」というものについても、なぜか思いをはせてしまうのだった。