ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

生誕125年記念『速水御舟』展 @広尾・山種美術館

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 速水御舟の作品は、あまりに有名な「炎舞」といくつかの椿の絵ぐらいしか知らないし、実物を観たという記憶もない。この山種美術館はその「炎舞」をはじめ、御舟の作品120点を所蔵しているそうなのだが、今回の展覧会で(会期中の展示替えを入れて)その120点すべてを展示するらしい。またとない機会だろう。

 展覧会をトータルに観て、作風をいろいろと変化させながらもその奥に「純朴」といってもいいようなピュアなまなざしがあり、そこからふと「幻視」のような、この世ならざる風景が浮かび上がるさまを目撃できた気がする。やはり稀有な才能の持ち主だったのだろう。わたしは「暗香」という、闇の中に咲く梅の花を描いた作品に、大きく心を惹かれた。
 意外と現代のイラストに通じるような、日本画的描写から突き抜けたような技術も面白く思った。例えば「炎舞」などでも、その「蛾」の描写は細密描写というよりもどこかモダンなところもある。それは「炎舞」の前の年に描かれた「春昼」の「鳥」の描写に通じるものだと思った。
 後期の、牡丹や芥子の花を写生した作品での、その「線」の捉え方に感じ入るところもあり、「画家の眼」というものを考えるとき、多くを考えさせられる展覧会だった。