ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『こちらあみ子』今村夏子:著

こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

 今村夏子に関していつまでもいつまでも「大傑作」という言葉を繰り返して申し訳けないが、この『こちらあみ子』こそは正真正銘の大傑作。大傑作であるがゆえにさまざまな読み方が出来るのだが、その中で「わたしはこれだけ読み取ったぜ!」と自慢げにここに書いてもしょうがない気がする。
 言ってみればこれは「わたしの発見」でもあるだろうし、逆に「わたしの喪失」なのかもしれない。日本文学史の中に燦然と記憶されるべき作品だろうと思う。この構成の見事さについても言っておくべきか。これから百年経ってもしもまだ「日本」という国が存続していて、「日本文学」というものが継続しているならば、たとえあの村〇春〇などという作家のことが忘れ去られていても、この今村夏子の『こちらあみ子』は読み継がれていることだろう。