- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/06/28
- メディア: 文庫
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‥‥すみません、実はこうやって『あこがれ』の感想を書こうとしている今、実はわたしはすでに今村夏子の『むらさきのスカートの女』を」読み終えてしまっているのです。それで今や、この『あこがれ』の影は遥か彼方に薄れ行きつつあるのです。
いや、このことはこの『あこがれ』がつまらなかった、ということではなく、抑えどころを抑えたいい小説だとは思います。特に、前にも川上未映子の作品を読んだときに思ったことだけれども、この人の作品が持っている「人の内的感覚」とでもいったものは、一般の日本人の感覚とはちょっと違うな、などという感想。それは「ドライ」だとか「ウエット」だとか人の感覚のことをことばで量ったりするけれども、川上未映子の作品ではそういう「ドライ」とか「ウエット」という感覚が、いってしまえば日本人が普通にいうそういう言葉から皮膚何枚分か隔たりがあるように思えてしまう。どちらかといえば「翻訳文学」、例えば「現代英米文学」から感じるような感覚ではないかと思うのだけれども、いやわたしもそんなに「現代英米文学」を読み漁っているわけでもないので、「どこが?」と問われると返答も出来ないわけですが。