ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

NHK交響楽団定期公演『メシアン トゥーランガリラ交響曲』パーヴォ・ヤルヴィ:指揮 NHK交響楽団:管弦楽 ロジェ・ムラロ:ピアノ シンシア・ミラー:オンド・マルトノ @赤坂・サントリーホール 大ホール

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 この曲はわたしの大愛好曲で、ナマで聴くのも去年の1月に続いて2回目。
去年は読響で指揮は大野和士だったけど、今日はN響で指揮はパーヴォ・ヤルヴィという方(知らない)。今回気づいたのは、この曲が作曲された時期というのが、ナボコフが『ロリータ』を執筆していた時期と重なるということで、これはわたしには「無関係」なこととは思えない。『ロリータ』が戦後アメリカの風俗文化を取り入れながらも壮大な「卑俗さ」と「高邁さ」との混合された大作だったように、この「トゥーランガリラ」もまた、当時のアメリカ映画の音楽の卑俗性を取り入れながら、インド哲学的な「愛」の世界を描いた。その「卑俗性」から、メシアンの弟子であったピエール・ブーレーズはこの作品を認めず、いちどもこの作品を取り上げることもなかったのだった。

 今回最高に良かったのはピアノのロジェ・ムラロという人で、この人はメシアン弾きの第一人者らしいのだが、演奏も素晴らしいものだったし、演奏中のアクションがカッコよかったのね。手から指先の動かし方、「ラン、ラン、ラン」と口ずさみながらの演奏、自分のカッコいいパートを演奏終えたときに微笑んで「やったぜ!」みたいなドヤ顔みせてくれる。こういうのはクラシックもジャズもロックも差異はないよね。
 全体の音は弦の音のせめぎ合いとか調和を聴かせるタイプで、わたしとしては前回の大野和士の、パーカッション部の迫力を感じさせたロックっぽい音作りの方が好みだったけれども(ロックの世界からメシアンに入った人間ですから)、音の美しさは楽しめました。あと、オペラグラスで演奏者をアップで見るのが楽しかった。チューブラ・ベルを演奏する女性奏者は身長が足りないので台の上に乗って演奏しているのがわかったり。
 関係ないけれども、わたしのとなりのお客さんがずっと寝てらっしたのだけれども、「会場内に寝ているお客さんっているのかな?」とオペラグラスで見てみると、いやあ、けっこういらっしゃいますね。あっちにも、こっちにも。悪いけど、大口開けて寝てる女の人とか見つけちゃいました。