ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2019-05-26(Sun)

 今日は日曜日だけれども、午前中からまた文楽、先日第二部を観た『妹背山婦女庭訓』の(観る順序が逆の)第一部を観に行く。昨日は出かけるのもキャンセルして家でのんびりしたので、比較的元気。ただこのところ気温が上がっていて、真夏日がつづいている(何と北海道では気温が38度とかになったらしい)。今日も予報では「暑くなるよ!」と言っている。まだ5月なのにこんなに暑いと、7月8月にはどうなってしまうんだろう。年々「猛暑」の度合いは激しくなっている感じだし、そんな季節に来年は東京でオリンピック/パラリンピックをやるという。何か、アスリートへの「罰ゲーム」をやらせるつもりなのだろうかと思う。

 とにかくは8時をちょっと過ぎたところで家を出る。まだ早い時間なのでそこまでの暑さは感じないし、文楽が終わるのが3時だから、いちばん暑い時間帯はエアコンの効いた劇場の中だろう。
 いつもの通勤コースで大手町まで出て、気分的には「今日も出勤か?」という感じがする。大手町で半蔵門線に乗り換え、すぐに到着する半蔵門駅から、国立劇場はすぐ近くにある。今日も先にコンビニに立ち寄り、お昼の休憩用に無事に「助六寿司」を買えたのだった。

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 国立劇場はちょうど開場したところで、この日の席はおとといよりもずっと前の方でいい席だ。こんな早い時間から「文楽」を観るぞ、というお客さんたちは、どこか華やいで見える。わたしも午前中から観劇というのはきっと初めてのことだけれども、昨日たっぷり休んだせいか、やはり気分がいい。
 10時半開演。「大序」は盲いた天智帝と蘇我蝦夷子、中納言らが並んでの舞台。日曜の朝にふさわしい格調ある幕開けだ。トントンと話は展開し、すぐに昼休みになる。わたしはロビーで助六寿司を食べるのだ。
 食べ終えて売店を覗いてみると、なんだか駄菓子屋で売っているような懐かしいお菓子が売られていた。今はもう駄菓子屋というのもほとんど消えてしまっただろうけれども、その代わりにこんな「国立劇場」の売店、というところで売られるようになったのか。駄菓子たちよ。

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 休憩も終わり、舞台は先日の第二部のさいしょにつながるところまでやって、「なるほどね」という感じでおしまい。
 こういう、順序を逆転した見方をして思い出したのだが、むかしむかしの映画館というのは「入れ替え」という概念がなく、観客はいつでもチケットを買うとすぐに映画を観始め、それはつまり思いっきり「途中から」観始めるわけだけれども、それでいちおう映画のラストになり、観客はまた次の上映をさいしょっから観るのだけれども、それで先に観始めたところまで来ると、「ここからはさっき観たからもう出よう」と、上映の途中で映画館を出るのである。今考えると「とんでもない」鑑賞法というか、推理モノのサスペンス映画なんかだと、ストーリーの流れもよくわからないうちに「そうか、コイツが犯人か」と了解し、次にさいしょっから観ることで、「いったいなぜそうなったのか」ということを、先に観たところとつなげ合わせて了解するわけである。
 これはある意味で「想像力」と「記憶力」とを試される鑑賞法というか、ただ最初から順送りに観て、ラストまで観て「ああ終わったな」となるような漫然とした見方を許さないようなところがあるではないか。まあ決しておすすめできる鑑賞法でないのは確かだけれども、意外とそういう見方で鍛えられるところもあるのではないかと思ったりする。

 とにかくはそうやって全編を観終えて、満足感というか充足感というものに満たされてしまった。
 このまままっすぐ帰路に着くのももったいない気がして、「ちょっと一杯飲んでくつろぎたいな」という気分になり、その国立劇場の建物の中の「和風喫茶」に入り、瓶ビール(小瓶)を飲むのだった。

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 ‥‥さっき舞台がはねたばかりだというのに、喫茶店にお客さんはわたしの他に誰もいない。「こんなことでいいのだろうか」と思う。国立劇場に付随した店でなければ、おそらくとっくにつぶれてしまってしかるべきような気がする。しかし、逆に「誰もいない」ということで、くつろいでビールの味を楽しめるのだった。

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 けっこう満足して、そろそろ日も傾きかけて気温も下がったであろう外界へと戻り、帰路に着くのだった。
 それで夕食をどうしようかと考え、帰り道のコンビニに立ち寄って冷凍のチキンライスを買い、帰宅してチャッチャッと炒めて夕食にし、あとはのんびりとテレビとかみるのであった。