ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『神と国家』ミハイル・バクーニン:著 勝田吉太郎:訳

 バクーニンは体系づけたアナーキズムの理論書を書いた人というよりも、「行動の人」、マルクスとタメ張った人、という印象がある。とにかくその生涯で動き回っていたから、じっくりと理論書を書いている時間などなかった人ではないのか。そんなバクーニンのテキスト、『神と国家』を読んだ。
 ここには、「過去に誰それがこういうことを書いていた」ことから「今は誰それがこういうことを書いている」、だからこうなのだ、などというロジカルな論旨の進め方はない。ここにいるバクーニンは「アジテーター」であり、それで読んでいると、この人のことが1960年代、70年代のヒッピーの指導者、みたいに思えてしまったりする。

 バクーニンの言っていることで興味深いのは、その「社会」という言葉の指し示すこと、そして「道徳」という言葉の指し示すことなのだが、このあたりはもういちど読み直してみたい気がする。

 この「国家権力」に抑圧された社会、というものを読んでいると、いかにも現在の「日本」と相似形というか、この『神と国家』が書かれたのが1871年なのだから、もう150年も昔のこと。日本はそれだけ歴史を逆行しているのだけれども、この150年前にバクーニン派とマルクス派が拮抗して社会革命を目指していたような状況は、今の日本にはないではないか。