ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2019-02-10(Sun)

 図書館から借りた高橋源一郎の「日本文学盛衰史」を読み始めたが、先日読んだ続編の「戦後文学編」に比べ、今のところ圧倒的に面白い。明治の作家たちの生活に平成の風俗を紛れ込ませ、時代不明にしているが、その裏に近代文学史への確固とした視点が感じられる。おそらくは柄谷行人の「日本近代文学の起源」も相当に影響を与えているとは思うが、「日本近代文学の起源」では言及されない石川啄木幸徳秋水が登場するのがいい。
 しかし、そうするとやはり続編の「戦後文学編」は大失敗作で、それはひとつには、作者が典拠とできるような「戦後文学史」が存在しなかった、ということだろうか。

 昨夜はまた雪になったようで、目覚めて窓の外を見ると、昨日の夕方にはすっかり融けてしまっていた雪が、またうっすらと地面を覆っていた。もう雪はやみ、空は青く晴れているのだが寒い。
 朝食は、ハムトーストに昨日買ったレタスをはさみ、ちょっとヘルシーな感じにしてみた。以前なら朝食はトーストを2枚焼き、あいだにハムとトマト、ゆで卵のマヨネーズ和え、それとレタスをはさんだものが定番だったのだが、今日は一枚のトーストにハムとレタスだけはさんで折りたたんで食べる。むかしに比べると貧弱な朝食だが、それでもやはりレタスが入るとおいしい。毎朝こういうのを面倒がらずに食べられるようになるといいのだが。

 夕方から、となり駅の映画館で昨日から始まっている「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」を観に行きたいと思う。全6作品、会期はこれから3週間。そのあいだに全作品制覇してやろうと思っているのだが、外は寒そうだし、「まだ3週間ある」と思うと、「そんなにあせって観なくってもいいじゃないか」という気にもなるし、昨日の「無駄な外出」のことも行動をためらわせる要因ともなり、けっきょく部屋でくすぶり続け、この日は一歩も外に出ないで終わってしまった。
 それでテレビをみていると、「モヤモヤさまぁ〜ず2」は北千住。知っているところも出るかもしれないとみていると、なんとBUoYのカフェが登場したりするのだった。そのあとも、いつも気になっていた、外に古い演劇や展覧会のチラシ、ポスターをいっぱい貼っている飲み屋も紹介され、「そうか、そういう店だったのか」とか思うわけだった。

 わたしは10歳から20歳へのいちばん多感な頃は足立区に住んでいて、それで周辺のスポットというと皆バスで行くのだけれども、近場では北千住、ちょっと遠いと池袋というのが定番コースだった。当時の池袋は相当にヤバいスポットだったのであまりひとりで行くことはせず、たいていは北千住へ行くのだった(外の人からいわせると「北千住もヤバい」ということらしかったが)。本を買うのは駅前の「西書店」(ここではのちにバイトすることになるのだ)、レコードを買うのは「上野楽器」、映画を観るのは「ミリオン座」*1、というのがわたしの北千住コースだった。
 もう、どのスポットも今は残っていないけれども、今ある「ミリオン通り」というのは、かつてその通りに「ミリオン座」があったことに由来するのである。
 

*1:おそらくわたしは、ビートルズの「A Hard Day's Night」はこの映画館で観たと思う。併映は「アイドルを探せ」だったはず。いいカップリングだった