ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『弟子』中島敦:著(岩波文庫『山月記・李陵』より)

 孔子に惚れ込んで弟子入りした子路の生涯を、孔子との関係で凝縮して描いた短編(「弟子」と書いて「ていし」と読む)。
 子路は直情の人ではあるが、孔子の中にその「直情径行」を越えるもの、つまり自らを越えるものをみていたのだろうか。時には孔子の妥協的な考えに不満も持つのだが、いってみれば「ま、しょうがない」みたいな気もちだったのだろうか?
 孔子孔子で、子路のことをほとんど「一番弟子」のように目をかけている。こちらもまた、子路の直情径行を「ま、しょうがない」みたいにみているようでもある。この二人の、長い関係を的確な文語で凝縮した短編、やはり見事である。

 中島敦はそのあまりに短い生涯の晩年に、『西遊記』に没頭していたという。ここでも、西遊記三蔵法師孫悟空との関係でこの作品をみるような読み方があるようだ。わたしはまだ、あまりに中島敦について知ることがない。
 

2019-10-07(Mon)

 今日はいくぶん涼しくなったようだけれども、まだまだ気温は高く、仕事を終えて帰宅するとやはりまだエアコンのお世話になりたくなる。ウチの近くにはアサガオの花がいっぱい咲いていて、「まだ<夏>ですよ」といっているようだ。

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 台風の進路予想がやはり危ない感じで、12日の午後から13日にかけて名古屋あたりから関東にかけてを直撃しそうだ。今日、11日に有給休暇の申請を出し、夕方には前に12日で予約してあった宿に電話して、11日に変更してもらった。これで11日の朝に出発して11日に名古屋で一泊、12日の天候を見ながら、遅くならないうちに帰路に着くというスケジュールが確定した。

 あとは「舞台」だけれども、必ず観たいのは市原佐都子の『バッコスの信女ーホルスタインの雌』で、あとは状況が許せば劇団アルテミスも小泉明郎の『縛られたプロメテウス』も観たい。
 それで、とにかくは『バッコスの信女』は観たいのだけれども、昨日書いたようにサイトには「残席わずか」と出ているわけで、このあたり、「当日券は出るのでしょうか?」ということを電話で問い合わせてみた。
 実はこの日、問題になった「表現の不自由・その後」展を再オープンするというニュースもあったわけで、チラシに書かれている「公演に関する問い合わせ」先の「あいちトリエンナーレ実行委員会事務局」に電話しても通じない。あらら、また「電凸」が活躍しているわけか。それでもうひとつ書かれている「チケットに関するお問い合わせ」に電話したら、こちらはすぐに通じた。当日券の有無についてはその日の朝10時に発表されるということで、それでは動きが取れない。「この電話で予約とかできるのだろうか」と聞いてみると、「必ず来られるのならばここで予約を承る。キャンセルは出来ない」ということ。「必ず来てください」としつっこいのでびっくりしたが、考えたらそういう「あいトリ」への嫌がらせで、予約はしてそのままスポイルしてしまうというような事例があったのだろう。「もちろん行きます」ということで予約。手数料を取られずに前売り扱いになったのでバンザイである。
 残る「観てみたい舞台作品」は、現地に行ってみて、時間との兼ね合いで決めようと思う。「劇団アルテミス」はぜひ観たいけれども。

 10月になってもいつまでも気温が高いので、夜に寝るときも肌掛け一枚で寝ていたのだが、夜中になってちょっと目覚め、「そろそろ掛布団だよな」と、掛布団を引っぱり出してかぶって寝た。するとすぐに、ニェネントがベッドに跳び上がってくる「ドサッ」という響きがあり、ちょっと体を動かすとニェネントが布団の上にいるのがわかった。しかしわたしはもう半眠状態で、ニェネントと遊ぶこともめんどうでそのまま放置。どうやらニェネントはがっかりしてベッドから降りて行ったようだ。きっと明日はいっしょに遊ぼう!
 

2019-10-06(Sun)

 また日本列島の南の太平洋上に台風が発生し、今後「猛烈な台風」に成長するという。昨日見た進路予想では「また日本海に抜けるのか」と思っていたのだが、今日見ると思いっきり日本列島を直撃しそうだ。しかも関西から関東にかけて縦断しそうでもあり、しかもしかもこの週末の12日にいちばん日本に接近し、上陸してしまいそうだ。12日というのは、わたしが名古屋に出かけようと考えている日である。こんなにヤバいことはない。わざわざ台風に向かって旅に出るようなものだ。

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 旅行自体を「中止」しようかとも思ったが、すでに買ってある新幹線チケットの代金2万円を無駄にするのはあまりにくやしい。チケットは12月まで有効なので「台風が去ったあとに」とかも考えるが、目的の『あいちトリエンナーレ』も14日で終了してしまうわけで、『あいちトリエンナーレ』のない名古屋にわざわざ行く気にはならない。いろいろ考えて、ここは金曜日に有給を取って仕事を休ませてもらい、11日の金曜日に名古屋入りするのがいいではないか、と考えた。台風の進路予想を見ると、12日の午前9時頃にはまだ台風も四国の南にあるようで、たとえ名古屋あたりを直撃するとしても(その可能性はかなりある)、午前中いっぱいはまだめっちゃ大きな影響もないのではないかと、甘く考える。
 最悪、いや最善は11日に「日帰り」してしまえばいいのだけれども、せっかく久しぶりの「旅行」なのだから、旅館に宿泊したいのだ。まあそのあたりは「気象情報」をこまめにウォッチし、最悪宿泊はやめて帰ってくればいいし、一泊して目覚めてヤバいようだったらすぐに帰ればいい。考えた予定では「野外展示」の多い「豊田市」周辺の展示を11日に観て名古屋に戻り、名古屋駅近くの「四間道・円頓寺」周辺の展示を観る。夜は市原佐都子の『バッコスの信女』を観て宿に投宿すればいい。それで12日は「名古屋市美術館」と「愛知芸術文化センター」を集中的に観る。そのあとは台風を振り切るように新幹線で名古屋から逃げ、自宅に戻って雨戸を閉めて家にこもる。そういう組み立てでいいのではないだろうか。

 ここは新幹線チケットを「いつでも利用できる」自由席券にしたのは大正解で、あとは12日としてある宿屋の予約がうまく11日に変更出来ればいいわけだ。
 それで、念のために11日夜の『バッコスの信女』公演をチェックしてみると、ネットでは「残席わずか」などと書かれている。こういうのは多少大げさに書いてあって、実はまだまだ余裕があることが多いのだけれども、まだまだ公演日まで5~6日あるわけだし、じっさいに前売りで席が埋まってしまって、当日券目当てで行ってみたら「満席です。入れません」などと申し渡されたりしたらシャレにならない。この日は日曜で問い合わせができないので、明日、当の劇場に問い合わせてみよう。
 ま、いろいろとやることがあって<非日常>の連続で、「さすがに<旅>だなあ」と思うのであった。
 

2019-10-05(Sat)

 一歩も部屋を出ない一日だった。新幹線のチケットを買ってしまうと、「ほんとうに旅行に出るのだなあ」という思いにとらわれる。長く旅行などしていないので、どこか「ウソではないか」という気がする。

 この日は、毎週土曜日にやっている「ウィークエンド サンシャイン」のエアチェックに失敗した。録音媒体のMDが古くなっていて、内部が損傷していて録音ができなかったのだ。MDやCDはコレがあるからこわい。わたしはたいていのCDはCDRに焼いてしまって本体は売却してしまっているのだけれども、そのCDRも保存が悪いと録音部が腐食してしまい、目視でも変色していて、本来銀色の部分に穴が開いているのが見えたりする。もちろん、その部分で音飛びする。こういうところはヴィニール盤がずっと耐久性があるし、カセットテープだってもっとしっかりしている。デジタルなんて脆いものだ。

 午後にベッドに横になって本を読んでいたら案の定そのまま眠ってしまい、目覚めたらもう5時になっていた。「ああ、今日も何もやらなかったな」と思うことになる。毎週毎週こんなことをやっている。
 

『李陵』中島敦:著(岩波文庫『山月記・李陵』より)

 漢の武帝の時代の物語である。物語の中心には武帝に仕えて匈奴と戦った李陵がいるわけだが、匈奴に捕らえられて「不忠」の疑惑の持ち上がった李陵を、武帝に逆らっても擁護した司馬遷、そして匈奴の地にやはり捕らえられていた蘇武、この三人それぞれの国(漢)への思い、その「運命」が、漢文調の硬質な文章で語られる。
 もちろん原典がある歴史上の物語を中島敦が取り入れ、「翻訳」ではないオリジナリティを持った「物語」として完成させているわけで、読んでいてただただ、中島敦の絶妙な語り口に酔うわけである。
 特に前半、五千の兵で匈奴に立ち向かい、やがて敗れることになる李陵の軍の描写の面白さは格別だった。
 

2019-10-04(Fri)

 今日は3ヶ月に一度の、国分寺のクリニックに通院する日。クリニックの予約時間は午後2時なので、それまでにいろいろと出来ることがある。まずは新宿のチケットショップを廻ってみて、東京~名古屋の新幹線のチケットを買いたい。そして、三鷹で途中下車してお気に入りの古本屋を覗いてみたい(先日三鷹へ行ったときは時間がなくて立ち寄れなかった)。
 新幹線の安いチケットを調べてみると、「こだま」にだけ乗れる「ぷらっとこだま」というオフィシャルなチケットがあるのだが、「こだま」にしか乗れないし、わたしが名古屋に行くのは3連休になるので「繁忙期」ということで割引率も小さい。それにわたしは「指定席」よりはフレキシブルな「自由席」でいいと思っているので、やはりチケットショップで買うのがいい。

 新宿駅の西口には、ズラリとチケットショップが軒を連ねている一角がある。どこも店頭に新幹線チケットの価格は大きく貼り出してあるので、比較しやすい(もちろん交渉で値引きもあるのかもしれないけれども)。たいていの店舗が10300円前後なのだが、一軒9980円という店があったので、その店で買った。ただ、切符は<東京~豊橋>と<豊橋~東京>の二枚に分割されていて、実際に使うときに面倒といえば面倒なのかもしれない。ま、正規に買っても自由席券は10560円だからそ~んなにまで安くなっているわけでもないが、食事代ぐらいは浮く。

 次は三鷹で古本屋。けっきょく「バーン=ジョーンズ展」の図録と、「ユリイカ」の「ダダ・シュルレアリスム特集号」とを買った。「バーン=ジョーンズ展」はむかしじっさいに観に行った展覧会で、ウチに何枚かそのときに買った絵ハガキはあるのだが、当時は貧乏で(今も貧乏だが)図録は買えなかったのだった。
 あと、店頭に先日開催されていた「くまのプーさん」の展覧会の図録も置かれていて、「買いたい!」とは思ったのに買わずに店を出て、あとになって「やっぱり買えばよかった!」と、大いに後悔したのだった。

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 クリニックの診察(問診)はすぐに終わり、次回はもう来年になる。そのときは「脳波検査」をやるという。

 診察が思ったより早く終わったので、帰りにとなり駅でやっている、ちょっと観たいと思っていた『カーマイン・ストリート・ギター』というドキュメント映画の上映時間にギリギリ間に合いそうだったのだけれども、今日はいろいろと動き回って疲れたのでまっすぐに帰宅することにした。今日も暑かった。
 

『まじめが肝心』オスカー・ワイルド:著 西村孝次:訳(新潮文庫『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』より)

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)

 三谷幸喜である。おしまい。